ライラックの咲く頃
プロローグ
「次、牧田さん」

先生が私の名前を呼ぶ。
かったるい……と思いながらも前に出た。

「はい、じゃあどうぞ」

なにが、じゃあどうぞ、だ。私がリコーダー吹けないことくらいあんたが一番知ってんだろ。

息を思いきり吸い込む。


ピーーーーー!!!

耳を塞ぎたくなるような音が音楽室をゆらす。

歌じゃない。

先生が頭をかかえた。大きなため息つきで。


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