ライラックの咲く頃
呼び出し
「なんかさぁ、このまま花の10代が過ぎていくと思うと泣けてくるね」
熱心に雑誌を読む由香に話しかける。
「あー、そうだね」
返事、てきとー。
「夢中になれるもん欲しくない?」
「あー、うん、うん」
棒読み。
由香は「今春!絶対流行る!モテカワコーデ!」を見るのに忙しいようだ。
「ウォーターボーイズみたいにさぁ、青春!って感じのことしたいよね」
「あー、わかる、わかる」
由香はうなずいているけどホントはなにも聞いちゃいない。
昔からだしつっこまないけど。

「おい、牧田!センセー達が呼んでっぞ。印刷室に来いだってさ」
評議委員の相川が大声で言った。




< 2 / 61 >

この作品をシェア

pagetop