ライラックの咲く頃

「そーいや、親は?」

ミントが辺りを目で少し見渡しながら私に聞く。

「ん?いない。」

「仕事?」

「や、違うけど…。」

「ふーん。」


「なんで?」とか聞かれると思ったけどミントはそれから何も聞いてこなくて、ただラーメンをすすっていた。
だから私もなんで家出したのかとか目玉焼きには何をかけるのかとか、聞きたいことは沢山あったけれど、私もただ黙ってラーメンをすすった。

今日、ミントについてわかったのは名前と歳とそれから恐ろしくネーミングセンスがないってことだけだった。
< 29 / 61 >

この作品をシェア

pagetop