本当に愛おしい君の唇
第21章
     21
 互いに風呂から上がると、バスタオルで体を拭きながら、治登も直美もリビングへ戻ってくる。


 彼女は髪を乾かさずにそのままにしていた。


 治登もタオルで拭くだけで後は何もしない。


 風呂上りで互いに軽くビールを飲むと、眠気が襲ってくる。


「今夜はいい夜になりそうだね」


「ええ」


 少し肌寒いが、二人でいれば熱を移し合えて、心地いい。


 治登がベッドに寝転がると、追って直美もベッドインした。


 そう、丸々七時間ほど眠ったのだろうか、朝が訪れている。


 治登は先にベッドから起き出し、大きく一つ伸びをすると、キッチンへ向かう。


 直美はまだ眠っていた。


 治登はコーヒーを淹れて飲みながら、軽いストレッチで体のコリを解(ほぐ)す。
< 112 / 171 >

この作品をシェア

pagetop