【短】この猫知りませんか?
「あのっ、」
私は、とりあえず声をかけてみた。
「・・・」
その男は、黙って私の方を振り向いた。
「未成年ですよね?」
「・・・だったら?」
男は、口にくわえた煙草を手にとり言った。
「ダメです。煙草。煙草は、18からですよ。」
「・・・20からですけど」
「えっ?あっ、そっか」
「ははっ、説得力ないなっ」
その男は、笑った。
その笑った顔は、猫目が細くなって、口からは八重歯がちらりと見えた。
笑った顔は、無邪気で子供っぽくて、普通にしてる顔とギャップがあった。
「んぅ・・・、てか、知ってんだったら止めましょ」
「俺、未成年じゃないし」
「うそっ」
「うん。嘘」
「・・・馬鹿にしてる」
「てか、アンタ一年か?邪魔しないでほしいんだけど」
「何かしてましたか?」
「一服中です」
なんか、すごく変な人だ。
でも煙草を吸ってるその横顔は、格好いいと言うよりかは、物凄い綺麗だった。