【短】この猫知りませんか?
「見すぎ」
「へっ?」
「何かな?新種の告白か何か?」
「そんなんじゃないです。あのもう黙ってるんで、しばらくここにいていいですか?」
「静かにして、人の顔見つめないなら、どうぞ。ご勝手に」
「・・・ありがとうございます」
私は小声でそう伝えた。
「・・・ふっ」
それから、私は煙草の煙と一緒に空気を深く吸い込み、視界を青い空でいっぱいにした。
「はぁーー・・・」
息と共に、笑顔が出た。
本当にこの時だけ、世界で一人だけになった気分だった。