【短】この猫知りませんか?




「見すぎ」



「へっ?」



「何かな?新種の告白か何か?」



「そんなんじゃないです。あのもう黙ってるんで、しばらくここにいていいですか?」



「静かにして、人の顔見つめないなら、どうぞ。ご勝手に」



「・・・ありがとうございます」




私は小声でそう伝えた。




「・・・ふっ」




それから、私は煙草の煙と一緒に空気を深く吸い込み、視界を青い空でいっぱいにした。




「はぁーー・・・」




息と共に、笑顔が出た。



本当にこの時だけ、世界で一人だけになった気分だった。






< 5 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop