あたしの視線の先。
「そースか!」
佑太君はそう言うと、
バスケットボールを手に戻っていった。
あたしは速足で体育館から出る。
「奈津美のやつ…」
何考えてんの?
「早緒梨ー」
聞き慣れた声に振り向くと、
帰ったはずの奈津美が笑顔で立っていた。
「なんでっ!?」
帰ったんじゃなかったの?
「どーだった?
佑太君は」
「どーだったって?」
なんか怪しい。
奈津美がニヤニヤしてる時は、
何か企んでるときだ。
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