飛べない鳥
俺は美咲に怪我がないか見るため、閉じかけたドアを開け、美咲を覗いた。


しゃがみこんでいた美咲は、手を擦り、下を向いていた。


俺は美咲の肩にそっと触れる。



『わりぃ…痛かったか?
冷やすもん持ってくるから…』



美咲は無言のまま頷いた。

俺は冷凍庫から氷を数個出し、ビニール袋に入れ、
水も少しだけ入れて、輪ゴムで縛り、美咲に持って行った。



『ありがと…』



『…ごめんな?痛かっただろ?』



俺は美咲と同じくらいの高さまでしゃがみ、美咲の怪我をした部分に氷水の袋を当ててあげた。



『…遥斗優しいね…』



美咲の白く綺麗な手に残る、赤い色。


俺はそれが治まるのを待った。



『別に優しくなんかねぇし…俺のせいだからさ』



『私が勝手に来たんだもん…私のせいだよ?謝らないで』



俺は美咲の横に置いてあったスーパーの袋を見る。
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