飛べない鳥
『じゃあ作るね!』



美咲は気合いが入った笑顔を見せ、調理を開始した。

俺はそんな美咲を見ていた。


いや、考えていた。



もしこれが唯だったら…



俺の心臓は今頃動かなくなっているだろう。


美咲の姿を、唯の姿に被らせて見ていた。



次第にいい香りがキッチンから匂ってくる。


それと同時に、俺の腹が空腹を訴えた。



『出来たぁ!』



美咲が笑顔で俺の方に歩いてくる。



『出来たの?』



『お待たせ!』


俺の目の前には、
フワフワとした黄色の卵の下に、鮮やかなケチャップ色をしたチキンライスがあった。



見た目も綺麗な上に、
すごく美味しそうだ。



俺はただ感心する事しか出来なかった。



『すげぇ…』



『そう?食べようか』



俺はスプーンに一口分のフワフワの卵とチキンライスをのせ、口に運んだ。
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