飛べない鳥
『…うまい』


第一声はこの言葉。


隣に座って俺の反応を待っていた美咲が、笑顔になっていく。



『本当?良かった~!』



『うん』



俺は黙々とそのオムライスを食べ続けた。


お腹が減っていたせいか、すぐにオムライスを完食してしまった。



『美咲、ありがとな』



『いいえ!喜んでもらえて嬉しかったよ!』


美咲は食べ終わった食器を流しに運ぶ。


『俺が後片付けするから、美咲は座ってろ』



『あっありがと…』



俺はスポンジに洗剤をつけ、食器を洗っていく。


美咲はテレビを見ていた。


今、気が付いた…



俺は人間が嫌いなのに、
女が嫌いなのに、



普通に喋れていた…



俺は少しずつ変わり始めていた──………
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