飛べない鳥
『は?』



俺が笑っているって?


確かに、今響を見て笑ったよな?


俺は笑わない、いや、笑えないと思っていたのに、
声を出して笑っていた。



『遥斗の笑った顔…ヤバいよ?』



…どういう事だよ?
不気味だってか?



俺はまたいつもと同じ顔に戻し、駅の改札口に進んで行った。



認めたくなかった、
自分が笑ったということを。



『遥斗!お前の笑顔まじいいから!笑えって!!』



『無理だ…もう出来ねぇよ』



俺が駅のホームに着いた頃、丁度電車が止まっていた。


俺と響はその電車に飛び乗る。


電車の中は比較的空いていたが、このべとべとのままでは座れない。



俺と響はしょうがなく立っている事にした。


べたべたな俺達を電車の中にいた人が変な目で見てくる。


俺はずっと外を見ていた。
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