飛べない鳥
『…遥斗が笑った…』


先程より唯の涙の量が増えている。


次々に流れる涙、

止まることなく流れ続けている。



『は?俺でも笑うし』



違うよ?
最近笑顔というものを覚えたんだ。


唯と出会って忘れていた笑顔が蘇ったんだ。



唯に見て欲しい、
こう思うのは当然だろ?



『かっこいい~…』


唯は笑いながら俺を見てきた。



『泣くなよ…』


俺は唯の頭を数回撫で、
立ち上がり大きく背伸びをした。



『俺お前と出会えてよかった。お前は両親が結婚しなければいいって言ったけど結婚してなかったらお前生まれてねぇじゃん!』



『うん…?』


唯の可愛らしい泣き顔を見ると、俺の理性が吹っ飛びそうだ。



だから俺は青空に向かって叫んだんだ。



『そしたら俺は忘れてたもの取り返せなかった。
お前は生まれてきて良かったんだよ!!』




俺さ?こんな世界なんて無くなればいいと思ってたんだ。



でも…俺、この世界で生きたいと思っている─…
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