飛べない鳥
『お前のこと狙ってる女が沢山いるってことだよ』



響はまた冗談でも言って俺を笑わせようとでもしてんのか?


そのネタ、全然面白くねぇよ?



『…冗談だろ?』



俺は苦笑いをし、
頬杖をついた。



『周り見てみろよ?
女の視線はお前に集まってるぞ?』



俺は響に言われた通り、
周りを見渡した。


すると、方々から視線を感じる。


何人かの女と目が合った。


『ありえねぇ…』



俺は視線を響に戻し、
顔を伏せた。



『遥斗!やばい!次体育だった!』



『…あ~…』


慌てて更衣室に向かう俺達。


そして授業に遅れないように瞬間的に着替え、グランドへと走った。


集合場所に着くと同時に、チャイムが鳴った。



俺は乱れた息を直し、
憂鬱な体育の授業を受ける。



今日の体育は持久走。


こんな色をした空の下を走りたくなかった。
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