飛べない鳥
俺は立ち上がり、
少しだけぐちょぐちょになりかけた土の上を歩き、
公園から出て行った。



『…俺…やっぱ嫌われてるな』



好きなのに、行動に移せなくて、


好きなのに、好きと言えなくて、


好きなのに、自分から離してしまう…



人間は愚かだ。


俺は、葵に敵わない。


俺より葵の方が唯に似合っている。



…なぁ?


俺さ、この恋…


無理だと思うんだ。



唯は運命の人を信じていて、唯は辛い過去があって…

唯の全てを知っている葵を、俺は越せることは出来ないだろ?



『どうしたら…』



俺は何が出来る?


俺は何がしたい?



『唯…好きだ…』




俺は空に向かって告白をした。


でも…空から落ちてくるのは冷たい雨だけ。



そんな雨が、余計俺の心をおかしくさせた。
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