飛べない鳥
何だ、この感触は。


異常に柔らかいもの。


目を開けると、
目の前には目を瞑っている美咲の姿があった。



俺は慌てて美咲から離れた。


『…遥斗?いきなりびっくりしちゃった。遥斗からキスしてくるなんて』



『えっ…』



俺は気が狂っていたのか、無意識の内に美咲にキスをしていた。



『ちっ違う…』



俺は首を横に振る。


その度、雫が飛び散る。



『遥斗、やっと私のこと好きになってくれたの??』




…嘘だ、嘘だ、嘘だ!!



誰か嘘だと言ってくれよ…



『…さっきの…無かったことにして…俺、どうかしてたみたい…』



一瞬、美咲の姿が唯に見えたんだ。


だから俺はあんなことをしてしまったのかもしれない。




『…私…嬉しかったのに…』



美咲の目から、雨とは違った滴が流れ出した。



『…ごっ…ごめん』



俺は美咲の肩に手を当てて謝った。



『女の子って傷付きやすいんだよ…』



『…ごめん…』
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