飛べない鳥
そこには丁度靴に履き替えている唯の姿があった。


湿気で少しうねった髪の毛を二つに結び、俺に背を向けていた。



『唯…』


俺は唯の肩に触れ、
唯をこちらに向かせた。



『あっ遥斗!』



…ドクン…


やはりこの笑顔を見てしまうと、愛しいと感じる。


俺はその感情をぐっと堪え、唯に尋ねた。


真実を…君の口から。



『唯と葵って…その…つき…』



その瞬間、校門の近くに学ラン姿の美男子を発見してしまった。


そしてそいつと目が合う。


『葵?』



『唯ー!!』



葵はここまで聞こえるくらいのでかい声で唯の名前を呼んだ。



葵の声に気付いた唯は、
葵に数回手を振り、また俺の方を向いた。



『葵と付き合ってるんだろ?』




『え?』



もう答えなんかいらない。

葵の態度とか見ていたら、もう…分かるよ。
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