飛べない鳥
俺の体は、充電しなければ働かなくなってしまった。

でもきっと、充電しても充電し足らないだろう。


もう使えようがない体になってしまった。



香織はすごく後悔していたようだ。


でも言ってくれて良かったよ。



ありがとな…




梅雨は嫌いだ。

空気が湿気で汚染される。

何も…消し去りたい。



過去を消せる消ゴムがあったなら、俺はすぐ消し去るだろう。



でも、唯を好きになったという思い出は、消さずに残しておくよ。


なぜならば、唯に恋していた俺は、少しでも幸せだと感じたから。





─…キーンコーンカーンコーン…


何も考えないまま、授業は進んでいき、もう既に帰る時刻となっていた。



『帰るか…遥斗…』



『…おう』



俺に気を使っているのか、響は何も喋らない。



そんな状態のまま、
下駄箱に着いた。
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