飛べない鳥
俺のテンションはぐんぐんと上がっていき、早く屋上に行きたいと思っていた。


でも、唯と葵の事が頭をちらつかせる。


それを思い出す度、少しだけテンションが下がる。



でも大丈夫だ、

今日で俺はけじめをつける。



いつもより少し早い時間に響のお迎えが来た。



『遥斗、大丈夫か?』



『余裕だし!俺強いから!』



俺、ちっとも強くなかった。


今の俺は、ただの強がった人間だ。


自分の気持ちを押し殺して…あんな言葉を言ってしまったんだ。



道路に水溜まりがいくつかある。


太陽の光が反射してすごく眩しかった。



キラキラと世界が輝いていて、またテンションが上がる。



『響、お前に言っとくよ』


『何?』



『幸せだよ、俺』




昔、俺はこの世界が大嫌いだった。


でも今、俺は胸を張ってこう言える。



《幸せだ》
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