飛べない鳥
『何言ってんだよ、いきなり。笑えるから!』



『言ってみただけだ』



時間が過ぎても、
周りが変わっても、
世界が終わっても、


俺は唯をずっと好きでいるだろう。



唯は俺を変えてくれた人間だから。



俺の初恋は、残念な結果になったが、それよりもっと、もっと得たものがある。

人を好きになれるだけで人間は変わる、ということ。


間違ってる?



─…学校に着いたころ、
俺は何故か緊張していた。


屋上に唯はいるだろうか?

階段を上る度、緊張と不安が高ぶる。



そして、目の前に屋上へと続く古びたドアが現れた。


俺は深呼吸をし、
ドアノブに手をかける。


そしてゆっくりと、ドアを開けた。



太陽の光が俺を包み、
俺は眉間に皺を寄せた。




『─…遥斗?』




聞こえるのは君の声。



愛しい、君の声─……
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