飛べない鳥
だめだ…
君の声を聞くだけで、
胸がじーんとする。


誰かに心を握られているようだ。



すごく…痛い。



俺は一歩、屋上に入った。

そこには、俺を見つめる唯の姿があった。



『唯?』



君の笑顔はこの太陽に負けていないくらい輝いていた。


眩しいよ、唯。



『おはよ』



屋上にも、水溜まりがいくつかあったが、俺は構わず、その上を歩き唯に近付く。



『うん…』



『もう来ないかと思ったから…すごく嬉しい』



『…うん』



唯のひとつひとつの言葉が、俺の気持ちを揺らす。




『遥斗、昨日のことだけど…葵とはね…』



『なぁ、唯?』



『え?』


今日はこんなにもいい天気だ。


今日言うよ、今日しか言えない気がするんだ。



俺は空を見上げて、
自分の恋にサヨナラを告げた。





『幸せになれよ』
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