飛べない鳥
太陽が、雲の隙間から顔を出す。


熱く、眩しい太陽の光が、廊下に射し込んでくる。


先生は空を眺め、
俺の質問の答えを返した。


『好きだったわよ…今でもね…』



『じゃあ何で…好きなら…』




『好きだから、相手のことを想って言ったのよ?
好きだから、あんな事言ったのよ』




『好きだから…?』



『恋愛ってね、好きだけじゃだめなのよ…』



そう先生は俺を見て言った。


一粒の涙を流して─…



好きだから…相手のことを考えて…

好きだから…相手を想って…


それだけじゃダメなのか?


俺はまだまだ餓鬼だから…何も知らないだけなのかな?



先生は、俺に微笑んで、先にある教室に向かって行った。



響…ごめんな…
俺さ、お前のために何も出来なかった─…
< 286 / 354 >

この作品をシェア

pagetop