飛べない鳥
廊下の隅の方に連れてきて、響を睨む。



『言えよ。何があったんだ?』



『…美幸が…』



やっぱあるんじゃねぇかよ。

俺を騙そうなんて無理な話なんだよ。



廊下は教室と違い、冷房設備が整っていない。


だから本当の気温が廊下を埋める。



暑いがそんなの関係なかった。


俺は響が心配なんだ。



『先生が?』



握り締めている拳に汗が出てくる。




『俺が話しかけようとすると逃げるんだよ…連絡しても出てくれないし…相当嫌われてんのかな…』



響の顔がだんだんと雲っていく。



違うだろ…
きっと先生は響にこれ以上好きになってもらいたくないから…避けたりするんだと思う。



先生は…まだ響が好きなんだよ…




『まだ…分かんねぇじゃん。嫌われたとかまだ分かんねぇだろ?』
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