飛べない鳥
『沢村ー?!』


柳原先生は響に向かって叫ぶが、俺が理由をつけて早退という形となった。



響を早く、先生のところに連れてってください─…



俺が心の中で願うと、
今まで吹いてなかった風が急に吹いた。



ありがとう、感謝するよ。


響は愛する人の場所に向かっていった。



俺も愛する人の場所に向かおう。



朝のHRが終わると俺は屋上に向かった。


そういえば朝のHRの時間に唯の姿はなかったな。


休みなのか?


俺は屋上に唯がいないかもしれないという不安を抱えながら屋上のドアを開けようとした。



『遥斗?』



後ろから唯の声が聞こえた。



『唯?』



俺は急いで振り返る。
やはり唯だ。




『髪の毛切った?かっこよくなったね。似合ってるよ』




望んでいた言葉が聞けた。
俺の気分は最高頂だ。


俺も響に負けないよ。
好きな人には伝えるよ。





『今度…遊びに行かない?』




もっともっと…
近付きたいよ、君に─…
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