飛べない鳥
今の俺は素直で、無邪気で、君に近付きたい気持ちが溢れていた─…


でも…開けかけた俺の心はまた閉じてしまうんだ─…


唯は俺が言った言葉を聞いて、少し固まっていたがすぐに表情が明るくなり、笑顔を向けた。



『まさか遥斗からそんな事言われるなんて思ってもなかった…嬉しいよ?』



頬を赤く染め、恥ずかしそうな仕草を見せる唯を見て俺の胸は元気よく弾む。



『うっうん…どこ行こうか?』



そんな唯を見ていたら自分まで恥ずかしくなり、その状況に耐えきれなくなった俺は、頭を掻いた。



ちらっと唯の方を見ると、唯は空を眺め、必死に考えていた。




『ん~…あっ遊園地!』



『ゆっ遊園地?』



『うん!遊園地楽しいから!』



楽しそうに行きたい場所を話す唯の笑顔に負けた気がした。
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