飛べない鳥
『ここからみる景色って綺麗だね?』


俺はここからの景色を見て感動していた。



『私もこの場所大好きなの。思い出の場所なんだ!』


いきなり彼女が元気な声で話し始めたので俺は安心した。


君には悲しい顔は似合わない気がしたんだ。



『この写真も綺麗だと思わない?』



俺はポケットから光輝さんからもらった写真を取り出して、彼女に見せた。



するとその写真を見た彼女の動きは止まり、大粒の涙を流した。



そして一言だけ呟いたんだ。



誰かの名前を─……



次々と涙を流しながら…





『優…君…』




彼女がこう言った瞬間、風がびゅうっと吹いた。


激しく揺れる木。


ベンチに彼女の涙が落ちていく。



彼女は確かに《優》という名前を言った。



優という人物はこの写真を撮った人だろう。



彼女は優という人物を知っているのか?
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