飛べない鳥
『迎えに行けなくてごめんね…遥斗をいつでも迎えに行けるように施設の近くに住んだのよ…本当にごめんなさい…』



母親は俺に何度も謝ってきた。


俺は母親の肩を叩き、母親に向かって笑顔を見せた。


『大丈夫だから…だって俺…』



母親が目を細くして俺を見上げた。



俺は最上級の笑顔を母親に見せてこう言った。



『今すげぇ幸せだから!』


俺はこう言って、母親の元を去って行った。



俺にはまだ大事なことが残っている。



きっと君は肩を震わせて泣いているだろう。



俺は君を抱きしめて安心させなければならない。



そして耳元でこう言うよ。


《愛している》



そしたら君は泣いて喜んでくれるだろうか?



俺は唯と初めて出会った公園を目指す。



公園に着くと、街灯の下のあるベンチに座っている唯の姿があった。
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