飛べない鳥
俺と響はこの長い廊下を走っていく。


目的はない。

教室を目指す訳でもなく、ただ走っていた。


俺達が到着した場所は、
学校全体が眺められる屋上だった。


『屋上?』


響が呼吸を整えながら、辺りを見渡した。


俺も乱れた呼吸を落ち着かせ、屋上から見える学校を見た。


『落ち着く…』


俺はフェンスにもたれかかる。


響も俺の隣に来て、
地面に座った。


上を見上げれば、青空しかなく、屈託のない綺麗な青色が、俺の目を染める。


この場所は、俺の中にある小さなトゲをひとつひとつ抜き取ってくれているような気がした。



─キーンコーンカーンコーン……



『あ~あ、鳴ったし、遅刻だな』


響が残念そうに言う。



『いいじゃね?別に…』



この青空を見付ける事が出来たから、俺は満足だ。


この場所はきっと俺のお気に入りの場所になるだろう。
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