飛べない鳥
太陽の光が俺を包み、
温かくしてくれる。


俺はゆっくり目を開けた。
飛込んでくる、青空。


だが、飛込んでくるものは青空だけではなかった。



『やっと起きた!』


俺の視界に入ってくるのは、笑顔の菊地唯だった。


俺は焦る事なく、立ち上がり、制服についた汚れを祓い、教室に戻ろうとした。

『ちょっと待って!』


菊地唯は、屋上から出ていく俺の腕を掴んだ。


俺は《何?》という目で見た。


『話しがしたいの!』



『何で?』


『いいから座って?』



きっとこのまま話を聞かずに屋上から出て行ったら、教室まで追い掛けてくるだろう。


そんなの厄介だ。


俺は再びさっきまでいた場所に座る。


目の前には、俺が大嫌いな人間の女。



空に浮かぶ太陽。



なんだこの光景は。
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