飛べない鳥
菊地唯は何も話そうとしない。


俺は菊地唯を見た。


下を見て、耳を真っ赤にしていた。


『はぁ…何?』


折角イライラが治まったと思ったら次は何だ?


何がしたいんだよ、菊地唯。


『あの…さっきはありがとうね、私困ってたの…』


さっき?


あぁ、あの階段での事か。


『別に?それだけ?』



『あと…彼女とかいるの?かっこいいからいるよね』


なんだ、菊地唯も教室の女達と一緒じゃねぇか。


所詮女はこの程度なのか。

俺は立ち上がり、
菊地唯を置いて屋上から去ろうとした。


あの教室の女達に浴びせた言葉を吐いて。



『俺、軽い女には興味ないから』


さぁどう反応する?


俺の事嫌いになっただろ?

でも、菊地唯は、
俺が知っている女と何かが違った──……
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