飛べない鳥
授業中でも、考えていた。

人間に生まれてこなければ、楽しかったかな…



すると遠くから菊地唯の笑い声が聞こえた。


俺はその声が聞こえる方を向く。


菊地唯を見ると、やはり息が出来なくなる。


胸が苦しくなる。


なんだ?この苦しさは。


菊地唯にしか反応しない。

他の人にはこんな風にはならないのに、なぜあいつだけ?



菊地唯なら…信じれるかな…


菊地唯なら…好きになれるかな…



佐藤先生が、一学期の主な行事を黒板に書いている。

チョークの音が聞こえてくる。



でも視線は佐藤先生に向けられていない。


俺の視線は、菊地唯の方にずっとあった。


菊地唯の笑った顔や、ひとつひとつの動作が、
俺の中を止めた──……



君は何者だ?
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