飛べない鳥
それに比べて俺はどうだ?

自分の殻にこもって、
誰とも接しようとしない、ただの臆病者だ。


笑いたいなら笑えよ。


俺はどうせ臆病者だ。



『俺のどこがいいんだよ?つか聞いて!先生とすげぇ喋った!』



響が興奮しながら、俺の前の席に座って幸せ話を聞かせてきた。


『ふ~ん』


俺は興味なさそうに返事をするが、響は俺に構わず、一方的に話し続けている。


『彼氏いないんだって!チャンスじゃね?』



『チャンスってか…無理じゃね?先生なんだし、しかも担任だろ?』



『そんなの関係ねぇよ!
好きなもんは好きなんだから!』



こう言った響が、
すごく輝いて見えた。



人間ってこんなに眩しいもんなのか?


俺は楽しそうに話す響を見ながら、自分の愚かさに気付かされた。


俺は、なぜ人間に生まれてきたのだろう?
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