飛べない鳥
『悪かったな』


俺は響から視線を反らし、青空の写真の方を見た。



『思い出してみろよ、菊地唯をさ』



響の言われた通り、
青空を見ながら菊地唯を思い出していた。




…可愛かった。


はじめて人間の女を可愛いと思った…



『遥斗!遥斗!』


突然響が俺の肩を叩いた。


俺は響の方を向く。


響は俺の顔を指差しながら、口に手を当てて俺を見ていた。



『遥斗…すげぇ顔真っ赤…』



『は!?』



慌てて手を顔に当てる。



顔がジンジンと熱い。


俺は洗面所に向かい、
今の俺の状態を調べた。


すると、鏡に写った俺は、頬を真っ赤に染め、
あの、前に響が先生の事が好きだと言った時の顔に似ていた。



響が後ろから来て、
笑いながらこう言った。



『恋だな、遥斗』



俺は、否定なんか出来なかった。
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