飛べない鳥
響が背中を思いきり叩き、俺は一歩前に進んだ。



『いってぇ…』


『良かったじゃん!お前が恋するとはなぁ~!おめでとう!』


響は笑いながら洗面所から出て行った。



『あいつ…殺す…』



俺はもう一度自分の顔を見る。



これが…恋する顔なのか?


『変なの…』


電気を消し、洗面所を後にした。



『遥斗、俺帰るわ!』



『あぁ…』



響は自分の荷物を持ち、
玄関の方に歩いて行った。


『じゃあな、遥斗。』



『今日は悪かったな』



『余裕!遥斗の恋する顔も見れたしな』



『…早く帰れ』



『また明日迎えに来るな!じゃあな』



──…バタンッ…



響が帰って行った。


また一人になった俺は、
青空の写真の目の前で、
また君を思い出していた。


君は、俺にとって特別な人なんだ──……
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