飛べない鳥
そこには唯と唯の友達がいた。



『唯か…じゃあな』



こう言うと、唯は恥ずかしそうに俺の横を通り去って行った。



俺はしばらく唯の後ろ姿を見ていた。



元気よく揺れる唯の髪の毛が、すごく艶やかで綺麗だった。



『遥~斗』



後ろにいた響が俺の肩を叩いた。


ビクッと反応をする体。



『…青春だな』



『…黙れ』




唯は俺と同じ世界にいた、


俺はそれをなかなか気付いてあげれなかった。



唯は、俺と同じ人間だったんだ。




──…俺は響と別れ、家でのんびり一人の時間を楽しんでいた。




─ピーンポーン…



突然鳴ったインターホン。


俺の一人の時間が邪魔された。



俺は渋々玄関に向かう。




…誰だよ?



『…はい』



そこにいた人間は、
にこにこと笑って立っていた。



『……何しに来たわけ?』
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