星の唄
「最初はもちろん許せなかった。それでも…。」
長い沈黙を最初に破ったのは鈴音だった。
全員が鈴音の方を見ると、彼女はとびきりの笑顔を見せた。
「…そのおかげで大切なモノを見つけたんです。プログラムの満月さんには伝えられないと思いますが…感謝しています。」
その笑顔に嘘はなかった。
「大切なモノって…?」
誰もが思った疑問を声にしたのは結衣だった。
鈴音は人差し指を口に当て、にこりと笑う。
「それは秘密です。」
そして笑顔のまま奏空と結樹を見て、さらにハッキリと言った。
「奏空さん、結樹さん、だから気になさらないで下さい。私は私の為にココにいます。今、ココにいるのは私の意志です。」
「鈴音………。」
「鈴音さん…。」
結樹と奏空はそれ以上言葉に出来なかった。
自分達より3つも幼い彼女。
それなのに、とてもしっかりとしていて、いつも敵わない程だった。
けれど。
彼女は独りでいったいどれだけの想いを抱えて来たのだろう。
大切なモノを見つけるまでにどれだけ独りで泣いたのだろう。
結樹はギュッと拳を握った。
二人の気持ちを知ってか、鈴音はさらに笑顔を見せた。
結衣にはその笑顔から¨大丈夫¨と¨ありがとう¨が聴こえた気がした。