Ghost Lovers

来るなと言われたのに、
思いっきり状況を盗み見ていた私たちを
冷めた目つきで見下す。

しばらく沈黙が続いたが、
凜が折れたようにはぁ、と溜め息を吐いた。


「連れてきたのはお前だな、喜代。」
「見つからなかっただけマシでしょ?」


凜の額に青筋がビキッと浮き出る。
何も言わない彼が逆に怖い。

しかし気を取り直したように
隣の私に視線を向けて、凜は口を開いた。


「小町も見ただろう。」
「…うん。」
「……どんな風に見えた。」
「へ?普通の女の人に見えたけど……。」


あれで普通に見えたんだ、と喜代が笑った。

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