Ghost Lovers
トントン、
二回ノックして部屋の中からの返事を待つ。
静まり返った夜中の屋敷に
私の心臓の音が響いてるみたいだ。
(食べられませんように…っ)
隣には凜も誰もいない。
危ないときは「助けてください」と叫べと彼に言われたけれど
どうも癪に障る。
頼ってやるもんか、と思うものの
やっぱり怖くて冷や汗が溢れてきた。
「はぁ~……い…」
そのとき、中からか細い女性の声がした。
それはまるで、幽霊の囁きのように
儚くてすぐに消えてしまいそうな弱々しい響き。
風の音のように…不気味。
(ヒッ……!!)
ギュッと目を瞑りたくなるが、
意を決してドアノブを握った。