Ghost Lovers



俺は、一体どうしたというのだ。



この城に迷い込んだ、ただの人間。
霊感が強いというだけで
単純に客寄せになると思い、城に閉じ込めた。


人間と、俺たち妖怪は違う。


これから必ず危険にさらされるであろう彼女を
わざわざどうして――…



さっき、口裂け女と話す小町を見て
何でって思った。

あれだけ怖いと怯えていたくせにどうして。

しかも俺をわざわざ遠ざけて
妖怪と二人きりになるなんて。


そういう俺も悪魔だが。




――何で


どうしてあんな風に笑うんだ。




気がつけば、無意識に名前を呼んでいた。
あいつは無邪気な顔をして、俺を見ていた。


…胸が、痛い。



「小町。」
「ん?」




「これからも、」




俺は、今。

何を言おうとしたんだ?
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