花の家


鈴は、それはそれは嫌そうに甲矢さんを背負い、保健室へ向かった。


おんぶされている甲矢さんも、それはそれは嫌そうな顔だ。


家だので、そんなに嫌い合うことないと思うけどなあ。


保健室にはいると、わたしはまた、ぽかんとしてしまった。


保健室の先生が、鈴の背中の先輩を見て顔を引きつらせたからだ。


「蜂須賀くん、それは……じゃないの?」


「はい、そうっす。甲矢の家の当代です」


「……その家の者に、ベッドは貸せないわ」


甲矢、という名前を口にしようとしない先生に驚く。



「花のむすめが、それを望んでるんですよ。先生」


< 268 / 274 >

この作品をシェア

pagetop