花の家
「甲矢さん、大丈夫ですか?」


ベッドに寝かせられた先輩に呼びかけると、返事がない。

そのおでこに触れると、ひどく熱かった。


「鈴、熱があるみたい……氷枕どこかな……」


「おい、保健室に連れて来るだけの約束だろ」


薄情なことを言う鈴目をにらむ。

鈴目は大きくため息をついて、それでも氷枕を探してきてくれた。


冷やすと少しは楽になったのか、先輩の息づかいも穏やかになる。


「……虫の家は三つって聞いてたけど」


「言っただろ。甲矢は忘れられた家だ。

なかったことになっている」


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