歌って聞かせてよ。
次の日。

「ふぁーあ。眠ぃ。」



頭の寝癖など気にせず光輝君は豪快に窓を開けた。



(光輝君、おはよ。)

私はいつもどうり光輝君におはようをする。




「はよ。」




え?

聞き間違いかな…。



今ものすごくいいタイミングで返事返してくれたような…。



「って!…え!?」


病室を出て行こうとする光輝君がいきなり勢いよく振り返った。




え?!え?


私の事をじーっと見ている。





(な…何?)


「な…何って…!?お前、誰だよ。」




へ…?

(わっ…私?」



あ!だんだん声になってきた。




声、声だぁ!!


私は思わず窓越しにいる光輝君に抱きついた。


「わっ…ちょ…!?」

慌てる光輝君にはお構い無し。





あっ!足もある!!

動けてる!


「ちょい落ち着け!お前だれ…」


体は引き離されたけど、光輝君と目が合う。





「私、人間になれたんだ!」
「はぁ?何言ってんだお前。」



私の両肩を手で押さえていた光輝君は突然笑い出した。




「あはは!お前、変なやつだな。どっからどう見ても人間だろーが。」

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