愚者
 話し易い様に軽く背中を押してやる。会話の矛先を向けてやる方が、心の緊張も解れて話し易いだろう。
「実は……」
 葵が詰り乍話し出した内容は理不尽極まりない事だった。教師の意味不明な言動と、他の生徒のイジメ。確かに他の地域から来た者は、新しい地域や人間関係に悩む事は多々ある。既存のクラスに転入すると云う事は異端者と云う事に成る。その部分を見た場合、確かにこの少女は浮いた存在と云うか、馴染む迄にはそれなりの時間が必要に成るが、その馴染む期間を取り持つのが教師に成る筈だが、話を聞いた限りでは教師の質が落ちたと云わざる終えないし、イジメをした男子生徒にも問題は有ると思うが、眼の前に座っている葵に関して云えば非が有るとは思えない。
「酷い話しだね」
 端的な言葉しか思い浮かばない。如何接したら良いのか分からないのが正直な所だ。
「イジメられる私に、問題があるんでしょうか?」
「それは無いと思うよ」
「じゃあ……」
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