愚者
「大人だから意味は分かるさ。だが、本質が理解出来無いと意味は無い」
「はい」
「別に説教をしている訳じゃないんだ。だが、何の仕事をしているのか知らないが、こんな時間に帰らなければ成らない仕事は確実に家族の絆を薄める事に成っていると思うよ。これは私見だがね」
「分かっています。ですが、離婚してから先の人生を考えると……」
「理由は人の数だけある。問題は現在置かれている状況に適した仕事かどうかも考えるべきだね」
「……はい」
どんな生業で生き様が基本的には本人の自由だ。だが、擦れ違って壊れるのが眼に見えている家族を放って置くのも後味が悪い。私が遠巻きな苦言をすると、母親は俯き加減で話し出す。
「遅くなるのは仕事の所為です。私は……風俗の仕事をしてるんです」
「……なるほどね」
即座に理解が出来た。夕方から深夜が稼ぎに成る夜の仕事だとすれば帰宅は不規則に成るし、深夜迄に及ぶのは致し方が無い。私自身、決して誉められた人生を送った訳では無く、全ての職業に対して偏見は無い。個人には個人の事情と云う物が有る。私は言葉を選び乍私の考えを伝える。
「はい」
「別に説教をしている訳じゃないんだ。だが、何の仕事をしているのか知らないが、こんな時間に帰らなければ成らない仕事は確実に家族の絆を薄める事に成っていると思うよ。これは私見だがね」
「分かっています。ですが、離婚してから先の人生を考えると……」
「理由は人の数だけある。問題は現在置かれている状況に適した仕事かどうかも考えるべきだね」
「……はい」
どんな生業で生き様が基本的には本人の自由だ。だが、擦れ違って壊れるのが眼に見えている家族を放って置くのも後味が悪い。私が遠巻きな苦言をすると、母親は俯き加減で話し出す。
「遅くなるのは仕事の所為です。私は……風俗の仕事をしてるんです」
「……なるほどね」
即座に理解が出来た。夕方から深夜が稼ぎに成る夜の仕事だとすれば帰宅は不規則に成るし、深夜迄に及ぶのは致し方が無い。私自身、決して誉められた人生を送った訳では無く、全ての職業に対して偏見は無い。個人には個人の事情と云う物が有る。私は言葉を選び乍私の考えを伝える。