愚者
「何じゃ今回のデーターは、チョロチョロと蝿が纏わり付いて鬱陶しい。誰が付け狙われ取るんじゃ?」
 初老の男が他を圧倒する口調で話し出し全員が硬直する。
「ゲームとしては弊害が有る方が面白いが、ワシ等に危害が来る事が無いのが前提の筈じゃろう?それに、他のプレイヤーも動き出し取るんじゃ。その段階に行く前に手を打つのが親の仕事じゃろう?」
 老人は今回のゲームの主催者に視線を走らせる。主催の男は、老人の苦言とも恫喝とも取れる言葉を受けて暫し狼狽し乍も話し出す。
「今回の場合は想定外では有りますが、対処して見せます」
「これだけボロが出取る段階でどう対処するんじゃ?お前さんが作ったハウスルールは最早意味を成さんでは無いか。それなら、暴力的な行為がある方が魂が燃えるわい」
「その点は、徐々に緩和して行きます。間接的な事故であれば容認します。それと、今の映像を見て貰う限り炙り出され、把握出来る範囲で分かる障害はこの二人の男です」
「背景は?」
「この富田重明と云う男は現職の刑事であり乍、エゲツナイ方法で掠りをするとの事で有名です。それも、刑事としての権力を持っているのと同時に、検挙率も凄まじい物があり、上層部は事実上黙認と云う所です。圧力に負ける事が無いタイプかと思われます。それともう一人、関和宏ですが、この男は裏の世界では切れ者で有名でして、今回の件とは別の件で絡んでいると思われますが、関も富田と同様にかなりエゲツナイ方法を平気で取る事で裏の世界では有名との事です」
「厄介な輩が関って来たと云う所じゃな」
「そう成ります……」
「それで、その富田と関と云う男達の目的は何じゃ?」
「目下調査中ですが、中々尻尾を掴ませません」
「親であるお前さんが無能と云う事じゃろう?」
 初老の男の苦言にゲームマスターの男は黙り込む。痛い所を突かれたと云う感じだ。
「案外、今回の富田と関と云う男は、お前さんを狙っているのかもの」
 初老の男はそこ迄喋り含み笑いを声を上げる。
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