愚者
「確かに南條はんの云う通りやとは思いますわ。ワシも色々な世界を見ては来たけど、今回の件に関しては理解が及ぶ範囲ではありまへん」
「立っているステージが余りにも違い過ぎるわね。その状態で推し量るのは、余り意味は無いかも知れないわ。それよりも、アンタはどうする積りなの?」
 二人の会話が進む中、私はテーブルに置かれた写真と関が持ち込んだ情報を頭の中で吟味する。まさかと云う思いと、偶然と云うだけでは済まされない程に符合する部分が多過ぎる。私は煙草を取り出し一服点け、写真を手に取り眺める。如何やって撮影をしたのかは分からないが、鮮明に映っている写真の葵は、矢張り何処か悲しげな雰囲気を見る者に与える。複雑な気持だ。今回の様な事を知らない限りは、只の客としてしか見てない筈だが、関が持ち込んだ情報を考えるに、私に取っても他人事では無く成って来ている。
「上手く立ち回らないと、下手をするとアンタ死ぬ事に成るわね」
「それは十二分に理解しとますわ。リスクが高いからこそ、ギャラもええさかいな」
「だけど、かなり危険な相手ではあるはね。引き際を見定めないと、致命傷を負うわよ」
「それを踏まえて、南條はんならどう動きまっか?」
「先ずアンタが持ち込んだ情報を吟味するのであれば、これ以上の深入りはしないわね。詰まる所。上辺だけで処理をするって事よ」
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