愚者
「あの辺りは昼夜関係無く人の通りは少ないが、随分と大胆だね」
「昼間って所で油断しとったわ。今回の件は根が深過ぎて、見落としとる物が多い気がしてな。それで、警戒心が散漫に成ってた見たいや」
「後戻り出来無い状態に成って来た見たいだね」
「その様やな。何があったんか知らんけど、色々な欲望が渦巻いとる。ワシにはそう感じるんや……」
「どうする積りなんだい?」
「一応仕事としては請け負っとるけど、正直キツイわ」
「フケル選択肢は?」
「無駄やろな。ワシの情報網でも掴み切れん……何処に居ても同じ事やろ」
「叩き潰す以外には無いと云う事だね?」
「せや……やけど、本尊迄辿り着けるとは思わへんな。良くて蜥蜴の尻尾程度やろう。やけど、何らかの反撃をして牽制をしとけば、力関係のヴァランスを作る事は出来ると思う。上手く出来ればの話やけどな」
 関は冷静に自分の置かれている状況を分析している。恐らくその分析は的外れでは無いだろう。ソファーの上。痛みに徐々に成れ出したのか、関がベッドで寝ている葵に視線を向ける。
「さっきの疑問やけど、何であの子がこの部屋に居とるんや?」
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