愚者
「今の傷の状態では進め難いね」
「薬飲んだやろ。ほんまやったら吸収率の良いスポーツドリンクでもええんやけど、酒が飲みたい気分なんや」
関の申し出に私は頷く。本人が自覚して欲しがる物を無理して断る必要も無い。自分の身体は自分が一番知っているだろう。私はグラスに氷を放り込み、銘柄を気にする事無く、二つのオン・ザ・ロックスを作り、関の座っているソファーの前に座り酒を手渡すと、どちらともなくグラスを軽く触れ合わせ一口飲む。
「さて、聞かせて貰おうか」
「少しだけ複雑な内容に成るけど、最初に云って置く事があるんだ」
「なんや?」
「私の名前だよ。折戸時雨と云うのは偽名なんだ。本名は別にある」
「……かなり複雑そうやな」
「私は十代の時に殺しをしてね。その上で逃亡生活をしたんだ」
「殺し?」
「ああ。随分昔の話だけど、パチンコの売上金を奪った話を知っているかな?」
「その手合いの話は腐る程有るからな。詳しく聞かせてくれんか」
関の質問に私は大きく頷き酒を一口煽り話し出す。
「当時、私は暴走族の端くれでね。荒んだ生活をしてたんだ」
「薬飲んだやろ。ほんまやったら吸収率の良いスポーツドリンクでもええんやけど、酒が飲みたい気分なんや」
関の申し出に私は頷く。本人が自覚して欲しがる物を無理して断る必要も無い。自分の身体は自分が一番知っているだろう。私はグラスに氷を放り込み、銘柄を気にする事無く、二つのオン・ザ・ロックスを作り、関の座っているソファーの前に座り酒を手渡すと、どちらともなくグラスを軽く触れ合わせ一口飲む。
「さて、聞かせて貰おうか」
「少しだけ複雑な内容に成るけど、最初に云って置く事があるんだ」
「なんや?」
「私の名前だよ。折戸時雨と云うのは偽名なんだ。本名は別にある」
「……かなり複雑そうやな」
「私は十代の時に殺しをしてね。その上で逃亡生活をしたんだ」
「殺し?」
「ああ。随分昔の話だけど、パチンコの売上金を奪った話を知っているかな?」
「その手合いの話は腐る程有るからな。詳しく聞かせてくれんか」
関の質問に私は大きく頷き酒を一口煽り話し出す。
「当時、私は暴走族の端くれでね。荒んだ生活をしてたんだ」