愚者
「タブーと云う言葉は、元々はポリネシア語で、俗・浄・不浄・正常・異常を区別して、両者の接近接触を回避、若しくは禁止して、それを犯した場合には制裁を受けるとする観念って意味だけれど、一般的には触れる事を禁じるって意味の方が分かり易いわね。その上で報道のタブーと云うのはね、一九三六年に同盟通信社と云うのが設立されて、一九三七年の有る事件が切欠で、新聞紙法第二十七条が発布されたの。この内容を簡単に云うと、軍事・外交に関する情報に関して制限を施したのよ。それで、今も語り継がれる事件なんだけれど、所謂真珠湾攻撃の少し前の、一九四一年の十一月に、政府は「新聞の戦時体制化に関する件」を閣議決定する。つまり、すべての新聞社が「新聞統制会」に加盟、記者クラブの整理を目的とした情報操作を大々的に行なったのよ。その為に、新聞に使われる戦時中の写真や記事は、検閲を経て、何度もふるいにかけられ、簡素に要約されてどうにか紙面に掲載される事になったけれども、これはとても恐ろしい事よ。その怖さは分かるかしら?」
「……手元に入る情報自体の、真意の歪みって事ですか?」
「……手元に入る情報自体の、真意の歪みって事ですか?」