愚者
至極当然の疑問が自然と口を突いて出た。だが、小夜子は不機嫌な顔に成る事も無く「同じクラスの友達じゃないか」と短く答えてスタスタと歩き出す。ある意味では教室で浮いた存在に見えていた小夜子だが、葵は改めて小夜子を見る。
 小夜子は、他の追随を許さない程の元気な勢いが禍しているのか、クラスでは比較的一人で居る事が多かった様に思う。葵自身、苦手に属する性格だと思い距離を置いた積もりで教室に溶け込もうとしたが、その行為が逆に小夜子の気を引き付けた様だ。小夜子は、ゴミ袋を集積場に捨てると、クルリと振り返り「葵君は、何時もそんなに暗いのかい?」と尋ね乍歩き出す。
 校庭を横切り、引き摺られる様な形で小夜子の後ろを歩いている葵に、小夜子は疑問符を次々に投げ掛けて来るが、葵は上手く答える事が出来ず押し黙る。
「葵君、君は仏滅とか世紀末が一気に襲って来た様な顔をしているよね」
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