愚者
元来風俗産業で働く女性には、乱暴な分類をするので有れば二つのパターンに分ける事が出来る。一つは刹那的な生き方を軸にした散財タイプと、もう一つは生活の為に致し方無くと云う風に分ける事が出来る。前者のタイプは今を生きる事にしか興味が無く、先行き等を全く考えない破滅型。後者は思案した結果辿り着くタイプと分類出来る。無論この二つのパターン以外にも存在するが、大きく分ければこの二つに成る。仕事柄身体を張ったハードな職種に成る為、精神的な偏重を来たす者も少なく無い。その結果、前者のタイプは手にする収入を散財して自己を保つが、後者は生活を基盤に生きる為、水と油の如くに反りは合わない。表面的な喧嘩は勿論存在するが、それ以上に厄介なのが派閥と云われる対極化だ。詰り、交わる事の無い者同士の連帯感は無く、属性の合う者だけが寄り合い、陰で色々な情報を流して潰し合いをする。その結果店を転々と渡り歩く子が多いのが風俗産業の特徴に成る。恵自身、初めての風俗産業の為に色々な意味で戸惑いを覚えた。仕事自体もハードだが、女性同士の精神面から来るイジメには正直うんざりしているが、泣き言を云う事が許されない為に我慢するしかないのが現状だ。恵は待機室のソファーに座り呆然とTVを見ていると、スタッフ専用のドアが開いた。
「あらメグちゃんじゃない。今日は休みじゃなかったの?」
 視線が合う成り高圧的な態度で話し掛けて来る女性。年齢は十八歳を越えた辺りだろうか。人妻専門とは云え、店側からすれば金を生む資本には代り無く、相当な問題児で無ければ基本は採用する。        
 金髪に染め上げたロングヘヤー。酒で焼けた声。それだけで、この業界以前にも色々な経験をして要るのが態度と雰囲気で如実に物語っている。恵は困惑し乍も「メールで呼ばれたんです」と短く答える。本音で云えば関り合いたく無いタイプだ。
「ああ。シフトの子がドタキャンしたのね」
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